挑戦と葛藤

 やってみたいことができた。

 挑戦はしてみるつもりだ。

 でも結果が出ないなら誰にも知られたくない。

 自分で言うのは間違えてるけど、私にも素質があると思っている。

 あの子よりは何々ができる、あの子は性格が適していない、見た目も私の方が上だ、だなんて考えてる時点で性格は良くないのかもしれないが。

 すれ違う人を見ては自分の方が勝っているところを探して安心している。

 自分を偽るのはしんどいけど、意図せずにそういう部分が出てしまうときがある。

 意識せずごまをすっているときがある。

 そういう自分が嫌いだ。

 だから、誰かが私のことを嫌いでも、そうだよねって共感する。

 誰にでも合う人合わない人がいるが、その守備範囲はそれぞれ全然違うと思う。

 私は狭いほうで、結構初めの方から、嫌われてるのかみたいな気持ちになる。

 あまり近づかない方がいいのか、向こう側に合わせれるなら合わすべきなのか。

 目立ちたいし、そういう自分を想像するのは楽しい。

 でも、それまでの過程で、嫌われる自信がある。

 嫌われないように偽るのは難しい。

 八方美人の方が嫌われるのだから。

 元からの八方美人はどうしろって言うんだ。

バイト数回目の夜のわくわく

 普段夜に出歩くことはないから、カフェの自動扉の内から見た、若者の集団の少し酔ったような大声に、別世界に来たような錯覚を起こした。

 アルバイトのそのカフェは繁華街のはずれにあり、二階建てだった。

 夜九時。蛍の光が流れ終わって、一人初めて暗い二階の掃き掃除をする。

 映画の主人公のような気分になって、事件が起きないかわくわくした。死体でもオバケでもなんでも出てこい。私は物語のヒロインで、誰かが助けてくれる。

 夜の少しにぎやかな町が好きだ。

 みんなが開放的になって、集団の盛り上がりを見ていると私も大人になったなと思う。

 自分は真面目でピュアなんだぞ、みたいなオーラを振りまきながらその人たちの傍を抜けて帰路に着く。

 なにイキってんだって自分でも思うけど、わくわくしたならいいや。